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「ちょっと柚歩~?柚歩の家に行ったら、ちゃんと詳しく話してよね?」
「...うん、分かってるよ」
一部始終を隣で見ていた美奈が、私の肩を揺らしてくる。
そんな美奈に答えながらも、視線は逸らせなかった。
中大路君の後ろ姿からーー。
笑った顔に見覚えがあるって思っていた。
だけど思い出せなかった。
だって王子君、なんて人知らなかったから...。
高校生になった中大路君は昔と全然かわっていたから...。
最初から名前を聞いていたら、すぐに気付けたのに。
あなたが忘れたくても忘れられない、中大路君だって。
「柚歩、帰ろうか」
「......うん」
次第に見えなくなってきた中大路君の後ろ姿。
心の中で、彼に何度も語りかけた。
『私、あなたのこと絶対に許さないからーー...』って。
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