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「...えっ、嘘。それ本当なの?」
『信じられない』そう言いたそうに、私を見る美奈。
そんな美奈に対し、私はゆっくりと頷いた。
そのまま立ち上がり、本棚に並べられているアルバムを手に取り、美奈の隣に腰掛ける。
「...あっ、この写真だ」
昔のアルバムを捲っていると、見つけたのは小学四年生の時の写真。
春の遠足で、偶然中大路君と同じ班になれて。
その際、撮られた一枚を指差す。
「柚歩幼い!...で、柚歩の隣に写っている人が中大路君なの?」
「...うん」
そこには私と同じくらいの身長で、無邪気に笑う中大路君が写っている。
「...確かにこれじゃあ、名前聞かないと分からないかもね」
「そうだね...」
身長は、昔とは比べられないくらい高くなっちゃってて。
肌の色だって、昔はもっと黒かった。
顔だってもっと幼くて...。
本当に気づかなかった。名前を聞くまでずっとーー。
「だけどさ、柚歩は五年生の時に引っ越してきたんでしょ?...ここからだいぶ離れた場所から」
「うん..」
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