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「大丈夫。...絶対俺、一位になるから」
「え?」
耳元に囁いてきた言葉。
その相手はもちろん中大路君で、私を見て笑っていた。
中大路君...。
びっくりして、そして嬉しくてーー。
一瞬立ち止まりそうになってしまった。
反対側でバトンを受ける私達は、そのまま別れていく。
だけど私は、中大路君から視線を逸らせずにいた。
中大路君はただ、昔のことを気にしてそう言ってくれただけなのかもしれない。
例えそうだとしても、今の言葉がどんなに嬉しかったか...。
ありがとう、中大路君。
『絶対俺、一位になるから』
その言葉だけで、私は頑張れる。
パンっ!という空砲の音と共に、第一走者が一斉にスタートを切る。
うちのクラスは...三位!
すごい!!
緊張の中、次から次へとバトンが渡っていく。
うちのクラスは常に三位のまま。
一位と二位のクラスとも、それほど距離が離れているわけではない。
充分逆転できる!!
「準備して下さい」
その声に立ち上がり、第三コースに立つ。
大丈夫...。大丈夫。
グラウンド中からは大きな声援と、放送席からは実況する声が聞こえてくる。
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