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頑張れ...頑張れ...!頑張れっ!!
「中大路君っ!頑張って!!」
ゴールまで数メートル。
気づいたら大きな声で叫んでしまっていた。
一気に集まる視線。
だけど私の視線の先は、中大路君だけーー。
お願い...!!
心の中で強く願った時、ラストスパートをかける中大路君。
そして聞こえてきた空砲の音と、大きな歓声。
「..すごい」
私、一位でバトン渡せなかったのに。
最後の方でバトンを渡したのに。
なのに本当に一位でゴールしちゃうなんて...。
信じられない現実に、涙が溢れてきてしまった。
本当にどうしようもないくらい、かっこよすぎ。
これじゃ一生私は、中大路君のことを好きでいるしかないよ。
「おぉーと!中大路君は、どこに向かっているのでしょうか!?」
溢れてきた涙を拭っている時、聞こえてきた実況の人の声。そして。
「柚歩ちゃんっ!」
私の名前を呼ぶ声。
ゆっくりと顔をあげると、そこにはまだ息を切らしたままの、中大路君。
「中大路君...」
涙は止まってしまい、中大路君に見つめられたまま、視線を逸らすことができない。
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