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夕涼み:
出窓に腰掛け僕は外を見た
先程までのまぶしい青空はそこになく
今はただ黒雲が空を覆っていた
しかし何故だろう
いつもなら悲しみさえ覚えるその黒雲が
今日は何だか清々しい
草木も家も犬も車も鳥たちでさえ
雨に濡れているというのに
それでも僕の心は晴れ上がっていた
待ち望んでいたものが 今 やってくるからだろう
目を閉じて一息つくと
雨の中に一人たたずむ僕がいた
鼻腔に雨の匂いが抜けてくる
時折 遠くの方で雷鳴が轟いていた
何とも言えない心地よさが僕を支配していた
雨に抱かれ
雨に浸食されながら
僕はただひたすらに待っていた
次に目を開くとき
きっと僕は目の覚めるような青空を見るだろう
少しも濡れていない自らの身体に気がついても
まだ晴れた心のままでいられるだろうか
なんにせよ今はしばらく雨に濡れていよう
どしゃ降りの雨の中でただ君のことを待っていよう
夏の暑い暑い夕暮れはもうしばらく続きそうだ
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