自然への憧れ

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初日の出:  山の頂から僕はその時を待っていた  かつてこの地球(ほし)に生命(いのち)を生んだ奇跡の力  そして今も   変わらずその力を我らに与うその者を  その者の目覚めの声を  凍える体を必死に抱き留め  僕はひたすら待っていた  東の空が紫に変わり  そしてその者は現れる  かの王たちをも屈服させて  その力を顕示した者  かの王達の誰よりも  その姿 威風堂々  オレンジに染まる雲を見つめ  僕は必死に凝視していた  辺りはしんと静まり返り  己の呼吸が聞こえる  誰かが息を飲む  強い光が見えた  その瞬間  狂喜の声が地面を揺らした  そうだ  今幕は開くのだ  僕は思いっきり息を吸い込み叫んだ
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