自然への憧れ

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丘:  見はらしの良い小高い丘に立つ  眼前に広がるのは一面の緑と  どこまでも澄み透った青い空  太陽の光がまぶしい   鼻腔をつく新緑の香りが心地好い  ああ まだこんなに気持ちのいい風景があったのかと  僕が何気なく座りこもうとすると  街が見えた  さまざまな人が忙しく行き交う街  いつも冷たい風が吹きつける街  見るものを威圧し全てを飲み込もうとする街  ところがどうだろう 今はそんな感じがしない  ちっぽけな人々 頼りない街  人間ってなんてスケールが小さいのだろう  なんてか弱いのだろう  僕は座り込んで空を見上げる  爽やかな風が僕の頭を撫でていった  “大きくなりなさい 人間の子よ 自分のために    あなたを信じてくれる誰かのために”  まるでそうささやいているようだった
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