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「どうして私に話してくれなかったの?」
すべてを聞き終えた直後、千香は悲しそうに問いかけた。
「言いたくても言えなかったんだよ」
「どうして? バンドなら別に悪いことじゃないし、隠す必要ないじゃない」
「千香は俺と違って堅実に生きてたから……。タレントの夢は諦めて、正社員にもなって。そんな千香に話したら、バカにされると思ったんだ」
「バカになんて、しないわよ」
「でも、いつまでも夢にしがみ付いてて、子供っぽいとは思ったよね? 就職しないでバイトを続けてることもチクチク言われたし」
「それは、就職しない理由が分からなかったからよ! バンドのことを知ってたら、私の態度だって違ったわ!」
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