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陽太からも連絡は来ていない。
千香がライブを観たことさえ、陽太は知らないだろう。
ライブが終わったら一度会って話そう、とメールで言い合ったときもあったけれど……
そんな約束はなかったみたいに、お互い連絡しなかった。
「まぁ千香さんが納得してるなら、僕が口出すことじゃないしね」
智和は気を取り直すように言って、ワインを飲む。
「智和さんは吹っ切れましたか? 亜里沙のこと」
「僕の方は吹っ切るしかないから。それこそ、さっき言ったみたいに、時間をかけて毎日小さな幸せを積み重ねていくしかないよ。大きな淋しさを埋めるには」
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