壱と運命ー①

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→→→一時間目の現代文は没落的。 国語がどうもダメな涼は、国語にさえも頭を悩ませるのである。 しかし、二時間目の数学に続き、三時間目の物理は奇跡的。 俗にいう理系である。 そして一日ぶりの体育の時間がやってきた。 メイアがいないので、今日は自分も青色のユニフォームを着ることができた。 しかし………… 『えっ!?今日も!?』 コレは三時間目の終わり、ウェアーを借りに行った際に吉良井 言乃に言われた言葉である。 昨日とは打って変わり、涼が頭を下げることとなった。 困り果てる吉良井を押しのけて、女子サッカー部副部長の布津野 眸が貸与してくれたのでなんとかなった。 さて、何故メイアもいないのにウェアーを借りなければならなかったのかというと………… 「ごめんね、小研くん」 「気にすんなって。アテなら全然いるから」 本日涼の疲れを大いに吹き飛ばした女、佐藤 幸子の転校が原因であった。 それというのも、現代文は佐藤が教えてくれて理解が深まり、数学と物理は涼が教える度に褒めてくれたからである。 現在、佐藤は布津野のウェアーを身にまとっている。 青とは真逆の青であったが、それは仕方ないだろう。借りた身で文句など言えない。 「な、佐藤。お前はサッカー出来んの?」 「出来るっちゃー出来るかな?私サッカーは遊びだけどたまにやるし」 「そっか。ならよろしくな。お前、オレと同じチームだから」 「うん!よろしくね!」
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