壱と運命ー①

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ここで驚くべきは、佐藤が地面が砂なのにも関わらず回ったことではない。 回転の力を利用して、キーパーの左耳の隣にシュートを決め込んだことである。 「『飛雷針』…………」 涼の呟き。 一瞬遅れて佐藤が振り向いて、ピースサインを見せつけた。 「やったよ!」 「………おお!すげーな佐藤!」 仲間全員が歓喜の声をあげ、祝福した。 敵方は警戒して陣形を変え始めた。 涼も同じように祝福したが、彼としては一つ気になることが。 「イニシャルサインで呼んだのによくわかったな」 「とりあえず振り向いたら小研くんがコッチ向いてたし、数秒でSYが自分だと理解できたよ!」 「なるほどな」 「でも小研くんもすごいじゃない!あんな正確な位置にロングパス出来るなんて!」 「アレはサッカー部の奴なら誰でも大概出来るモンさ。オレは元だけど」 佐藤とはどうも気が合うらしい。すごく話が合う。 ただその影に何かを感じてはいた。 やがて祝いの言葉をかけに仲間が群がってきた。 その中に唯一いないのが椎成である。 彼女は涼に今駆け寄ってきたのだ。 「すごいよね!私のライバル出現って感じ!」 「…………ああ」
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