壱と運命ー①

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「…………?どーしたの涼?素っ気ない返事してさ」 それもそうなのだ。 涼にとって最大の疑問が今さっき生まれた。 コイツ、何故そんなに“オレと合う”? かつて回転の力を利用したシュートを使用した人間を、涼は一人しか知らない。 サッカーとは無関係に等しいが、涼はその人の性格に憧れていたくらいなのに。 何故彼の秘技を使える? それに自分の苦手な教科を、それも細かく言えば苦手な分野の知識を網羅していて、さらには自分の得意な教科はわからず、涼が教えることで褒め称える。 これじゃあまるで………… 「ねー涼?どうかしたの?」 「椎成」 「んん?」 気の抜けた返事は耳にとまらない。 それだけ“気がかり”だということ。 「オレ………どうもアイツが気になる…………」 「エッ!!!?……………あ、そ、そう…………。そうなの………」 涼はこのモヤモヤの解決策を模索していた。いや、一つある。というか一つしかない。 しかしコレは一か八かなのだ。 コレは一度か二度試した手ではあるが、一に転がった試しが無い。ことごとく失敗に終わっている。 だが、やるしかない。 そうも思っていた。 「当たって砕けろだよな…………」 そんな呟きをを小耳に挟んだ椎成は、口を開いたまま唖然としていた。それのそのはず。この女、 「涼ってば…………大胆……………!!!」 完全に意味を履き違えている。
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