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「…………?どーしたの涼?素っ気ない返事してさ」
それもそうなのだ。
涼にとって最大の疑問が今さっき生まれた。
コイツ、何故そんなに“オレと合う”?
かつて回転の力を利用したシュートを使用した人間を、涼は一人しか知らない。
サッカーとは無関係に等しいが、涼はその人の性格に憧れていたくらいなのに。
何故彼の秘技を使える?
それに自分の苦手な教科を、それも細かく言えば苦手な分野の知識を網羅していて、さらには自分の得意な教科はわからず、涼が教えることで褒め称える。
これじゃあまるで…………
「ねー涼?どうかしたの?」
「椎成」
「んん?」
気の抜けた返事は耳にとまらない。
それだけ“気がかり”だということ。
「オレ………どうもアイツが気になる…………」
「エッ!!!?……………あ、そ、そう…………。そうなの………」
涼はこのモヤモヤの解決策を模索していた。いや、一つある。というか一つしかない。
しかしコレは一か八かなのだ。
コレは一度か二度試した手ではあるが、一に転がった試しが無い。ことごとく失敗に終わっている。
だが、やるしかない。
そうも思っていた。
「当たって砕けろだよな…………」
そんな呟きをを小耳に挟んだ椎成は、口を開いたまま唖然としていた。それのそのはず。この女、
「涼ってば…………大胆……………!!!」
完全に意味を履き違えている。
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