壱と運命ー①

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涼はバッと起き上がり、疲れ切った目で右側を見る。 なんと見慣れない女の子が、教室の後ろのドアから覗いている。何かを叫んでいるようだ。 口の動きから見て取れるのは、 『あっ!ばれた』 涼はアホ面したその娘が隠れてゆくのを確認すると、また顔をうずめた。 「ん。ちょいちょい聞こえてきたが、転校生がいる」 一賀井がそう言った瞬間、茶髪の女の子が前のドアから顔をのぞかせた。 「「「かわいいーーー!!!」」」 誰もが叫んだ。特に女子。 「てなわけで、自己紹介頼む」 「は、はい。佐藤 幸子(さとう ゆきこ)です!」 それまで机に突っ伏していた涼の体が跳ね起きた。 何故そんなことになるのかというと、それは栗瀬の放った一言のせいだ。 「気のせい…………か…………?」 涼は頭に手を当て、深くため息をついた。 「席がな………臨時なせいで用意できてないんだよな…………」 「栗瀬の所空いてますよ…………」 「お、それなら都合がいいな!なら佐藤、あそこの朝っからやる気なさ男の隣に座ってくれ!」
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