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涼はバッと起き上がり、疲れ切った目で右側を見る。
なんと見慣れない女の子が、教室の後ろのドアから覗いている。何かを叫んでいるようだ。
口の動きから見て取れるのは、
『あっ!ばれた』
涼はアホ面したその娘が隠れてゆくのを確認すると、また顔をうずめた。
「ん。ちょいちょい聞こえてきたが、転校生がいる」
一賀井がそう言った瞬間、茶髪の女の子が前のドアから顔をのぞかせた。
「「「かわいいーーー!!!」」」
誰もが叫んだ。特に女子。
「てなわけで、自己紹介頼む」
「は、はい。佐藤 幸子(さとう ゆきこ)です!」
それまで机に突っ伏していた涼の体が跳ね起きた。
何故そんなことになるのかというと、それは栗瀬の放った一言のせいだ。
「気のせい…………か…………?」
涼は頭に手を当て、深くため息をついた。
「席がな………臨時なせいで用意できてないんだよな…………」
「栗瀬の所空いてますよ…………」
「お、それなら都合がいいな!なら佐藤、あそこの朝っからやる気なさ男の隣に座ってくれ!」
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