第16話

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*――* 「雫? 落ち着いた?」 オオカミさんの声に頷く。 涙はもう出ない。 オオカミさんの肌の温もりが、わたしを包んでくれたおかげ。 まだ足りないけど、仕方なく少し体を離す。 目の前で、心配そうにわたしを見ている瞳が愛おしくて。 ――好きです……。 少し不安な気持ちがあるけど、そっとオオカミさんの頬に触れる。 ――ドキドキする。 ほんの数日触れ合ってなかっただけで。 こんなにドキドキするなんて……。 思い出した悲しい記憶が、胸の奥を締め付ける。
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