第16話

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口付けを重ねるたび少しずつ薄れていって。 「ったく――」 小さく聴こえたオオカミさんの声。 背中に回っていたオオカミさんの腕に力が入る。 「……箱、邪魔。どうやったら出られるの?」 はっと我に返る。 まだ段ボールの中だった……。 急に自分が滑稽に思えて、慌てて出ようとオオカミさんから離れる。 瞬間、すっと寒くなって。 思わずオオカミさんを見上げる。 わたしを見てる瞳は穏やかなままで。 ポンっと頭にオオカミさんの手が乗っかった。 「早く出ておいで」 囁くように言われて、急に恥ずかしくなって。
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