第16話

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浮遊感に驚いて、思わずオオカミさんの首に手をまわしてしがみつく。 ずッと、段ボールがわたしの足をなぞりながら離れていく。 オオカミさんの歩く振動で体が揺れる。 「あ、っと、……もう大丈夫です!」 出られたから下ろしてほしいと声をかけても、オオカミさんは反応もなくて。 そのまま寝室に向かって歩き始めた。 「オレが大丈夫じゃない」 足を下ろされたのは、ベッドの上で手がオオカミさんの首にまわったままで話せる感じじゃなくて。 わたしは少しオオカミさんを見下ろすように自分の足で立った。 オオカミさんが、わたしを見上げてる。
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