第16話

17/40
前へ
/40ページ
次へ
恐れ多いことをしているような気持ちと――。 なにか、もうひとつの感情がざわざわする。 自分の心拍音だけで、何も聞こえない。 オオカミさんの息がかかる距離で――。 唇が触れ合う寸前で、オオカミさんの手の力がなくなる。 ――これって、たぶん……。 わたしからしてってことですよね……。 オオカミさんの言う“さっき”とわたしの思い当たる“さっき”が同じなら。 ……そういうことになる。 「あの、……意識すると――すごく恥ずかしいんですけど……」 赤い顔って……そんなこの状況じゃ顔が火照っちゃうのはしかたないですよ……。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1727人が本棚に入れています
本棚に追加