第16話

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顔が近いから、本当に小声で言ったけど。 オオカミさんは、何も言ってくれない。 ただ恥ずかしい。 でも、この状態のままでいるのも恥ずかしい……。 近くてきっと、わたしの心臓の音が聴こえちゃう。 目の前にオオカミさんの唇。 少し上目遣いのオオカミさんの目。 形の良い、すっとした鼻。 全てがパーツでしか見えないくらい近い距離。 恥かしいだけじゃなくて、もったいないような気がする……。 もっと近くでこうやって見てたい。 でも、わたしも――全然足りない。
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