第16話

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ドアをノックする音が聴こえて、わたしの心拍数は上がって行くばかり。 「はい」 耳にすっと入って来たのは、間違いなくオオカミさんの声で。 「なんだよ、急に」 ドアの開く音とともになんだか不機嫌そうな低い声。 「お届け物ってところです。――取り込み中ですか?」 「あ? ――誰から……」 オオカミさんの声が聴こえる。 『巽が開けるまで、出ちゃだめだよ、何があっても』 蒼菜さんとの約束を思い出す。 拒否されないことを祈りながら、待つことしかできなくて。 ガラガラと、動き出した気配にまたドキドキが激しくなる。
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