第16話

25/40
前へ
/40ページ
次へ
赤ずきんの目は、まっすぐで。 この瞳が濁ることはないだろうと、腹を決める。 今まで近づいてきたのは金目当ての女ばかり。 だからオレは、赤ずきんには家のことは言わなかった。 純粋な目が、金にくらんだりしないか。 赤ずきんにかぎって、あるわけないと思いながらも。 いい歳をしてそれを怖いと思っていた。 何も知らせずに、一緒にいたいと思ったんだ。 金で変って行く人間を、オレは見すぎてきた。 「簡単に言うと、京都ではそこそこ名の知れた資産家の家系で。 親父は大学卒業後、自分で立ち上げた会社を経営してる」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1727人が本棚に入れています
本棚に追加