第16話

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赤ずきんがオレの腕に手を添えたのがわかって、その手を握りしめる。 ゆっくりとその手の甲にキスをしながら、話を続ける。 「オレは、祖父が趣味でやってた店を任されてるんだ」 ゆっくりと細い指に唇を這わせる。 「いわゆる、金持ちの家系ってやつだ」 そう言って赤ずきんを見ても、表情に驚きの色は見られない。 まるで知っていたかのように、驚いていない表情。 「聞いたのか?」 蒼菜には言うなって言ってあるのに。 ――あいつ……。 「会社で噂になってるみたいです……」 「――会社?」 「はい、噂で聞いてました」
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