第16話

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ぽそっと呟いて、赤ずきんはギュッと指先に力を入れた。 「わたし、――オオカミさんから、訊きたかったです……」 囁かれた言葉に、過る罪悪感。 「悪かった……」 謝ることしかできない。 人はすぐ金に転ぶ。 赤ずきんがそうなることが怖かったなんて……。 ――情けなくて言えない。 一度手にキスをして、自分の頬に赤ずきんの手を触れさせる。 触れ合っていたのに、もう少し冷たくなっている指が気持ちいい。 「次はオレがあのパーティに一緒に行った貴和子夫人について。 貴和子夫人の旦那が、オレの遠い親戚。 それが今少し……揉めてる」
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