第16話

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他人から聞いたオレの家の事情。 それを知って、赤ずきんも不安だったのかもしれない。 「オレの言い方が悪かった」 家の話は、どう伝えたらいいのかわからないから苦手なんだ。 「確かに、爺さんの店を経営しているけど。ガキの頃からの夢がバーテンダーになることだったんだよ」 「オオカミさんの、夢……だったんですか?」 赤ずきんが興味深そうにオレの目を見つめてくる。 こういう話はするのが苦手だ。 自分のことを話すのは、得意じゃないから。 でも。 妙な高揚感と気恥ずかしさがあるのは、話がしたいからかもしれない。
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