第16話

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赤ずきんには伝えておきたい。 ――らしくない。 らしくないことが笑えるのに。 「興味ある?」 興味ありそうな目で見てることがわかっているのに、訊いてしまう。 「――あります」 さっきまでの沈んだ顔が、少し明るくなった気がする。 「どうしようかな」 悩んでもいないのに。 言うつもりしかないのに。 わざといじめたくなる。 「また、してくれたら教えてあげるよ」 オレの言葉に赤ずきんはギュウっと目を閉じた。 戦ってる、戦ってる――。 恥かしさと戦ってるのがわかるから、つい顔が緩んでしまう。
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