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「笑わないよ」
「もう、笑ってるじゃないですか!」
ごもっともな切り返しに、苦笑いがでてしまう。
「これは、楽しいから笑っちゃうんだよ」
「――本当ですか?」
「そう、本当」
手の力を緩めて、赤ずきんの顔を自分の方に向ける。
ちょっと不機嫌そうないじけた顔も、愛しくて。
ちゅっとおでこに唇を当てる。
それに観念したのか、小さくつぶやく声が聴こえた。
「――優しい“お母さん”に、なりたいんです」
「おかあさん? お嫁さんじゃなくて、お母さんになりたかったの?」
少し驚いた。
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