第16話

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――オオカミさんの部屋に、女の人がいる? ――震えそうになる。 蘇る、嫌な記憶――。 目頭が熱くなるのを堪えようと、ぎゅっと自分を抱きしめる。 「巽さん、もういいでしょう? おばさまはどんな手を使っても、あなたと私を……」 「どんな手をつかっても、――無理ですよ」 オオカミさんの声が、強く響く。 「今日は、お引き取りください。じゃないと……」 「きゃッ――!!」 ガタンッと音が響く。 ――何? 「いつまでも優しくなんてしていませんけど」 オオカミさんの声は本当に低くて、空気が凍りそうで……。
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