第16話

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妙な緊張感のある沈黙が続く。 「今日のところは、失礼します……」 カツカツと響くヒールの音。 すぐ横を通る気配に、身が縮こまる。 ――ガチャッ……バタン。 外の世界で何が起きてるのかわからないから、緊張する。 今思ったけど、もし、このままオオカミさんが開けなかったら……。 ――恥ずかしい……。 足音も、気配も感じない。 オオカミさんがいるのかもわからない。 だんだん怖くなって、動きたくなる。 動いちゃだめだよって、蒼菜さんに言われたけど……。 狭い箱の中、そっと手を伸ばす。 この向こうに、オオカミさんが――。
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