第16話

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箱の冷たい感触に触れたとき、光が刺した。 「――っ、びっくりした……」 見上げている私を覗き込む、オオカミさんと目が合った。 茶色の瞳が見開かれて、ばっと腕で口元を隠したのが見えた。 でも、すぐに視界からオオカミさんは消えて。 「オオカミさん!」 いなくならないで! 怖くなって慌てて身を乗り出す。 でも、顔をだした目の前に、壁にもたれて笑ってるオオカミさんがすぐに見えて――。 ……泣きそうになった。 変らない。 いつもと同じ、オオカミさん。 「なにしてるの、いったい」
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