第16話

7/40
前へ
/40ページ
次へ
呆れたように、でも少し――気のせいじゃないならプラスに思っていいなら、嬉しそうに見える笑顔で、ふわっと笑った。 「あの、蒼菜さんに――相談して……」 段ボール箱が三つ重なっていて、中をくりぬいた箱を用意してくれて……。 「出ておいで」 優しい声に、目頭が熱くなる。 でも、オオカミさんの手がゆっくりとわたしの方に向かって伸びてくる。 「――いいんですか?」 その手を掴んで、いいんですか? 「あ、でも……出る前に写真撮っていい?」 「え?」 「なんか、滅多に見れないから? ――文字通り“箱入り娘”なんて」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1727人が本棚に入れています
本棚に追加