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タクシーの中、南ちゃんと別れて二人になったわたしとオオカミさん。
指先を絡めながらタクシーに乗っていた。
運転手さんに、オオカミさんのマンションの住所を告げてから、オオカミさんは時折指を動かすだけで、話しかけてくれない。
わたしからもなんか――話しかけようとは思えなくて。
気まずいとか話したくないんじゃなくて、この空気感を大切にしたくて。
運転手さんも、特に会話を振ってくることもなく、街頭の光がオオカミさんの顔を照らしては通り過ぎていく。
ただ、幸せだって思えた。
時折動く指先がわたしを呼んでくれていて。
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