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「あの――えっと……灯り消してくれたら――ですけど……」
だんだんボソボソっと小さくなっていく。
――本当に……。
はああっと思いきり息をつく。
「え――オオカミさん……?」
今は顔を上げたくない。
いや、知ってるんだ。
だんだんわかってきてる。
赤ずきんの意表をついてくる言動には。
「――風呂、沸かすわ」
すっと靴を脱いで、赤ずきんの視線を逸らさせるようにもう一度頭の上に手を乗せて横を通り過ぎる。
一瞬手の下に見えた赤ずきんの顏が真っ赤だったのは見た。
気が変わらないうちに――と、少しがっついたかもしれないな。
蛇口を捻りながら妙な反省をする。
――もし本当にいやいやだったらやめるか。
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