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「準!お前、デカクなったなあ!」
抄は、変わらない笑顔で迎えてくれた。
その隣で柔らかく笑う男の人。
準は固まった。
「お久しぶりです」
ぺこりと頭を下げ、隣の男の人にも頭を下げる。
「あ、こちら大田悟史くん。弟が、準と同じ高校で。俺、その子の家庭教師やってて」
「そうなんですか。はじめまして」
準は、ある程度理解して、二人の前に座る。
「いやあ、悪かったな。急に呼び出して」
「全然、いいです。ダラダラ友達と話してただけだから」
準は、ちらりと悟史を見た。
悟史は、にこやかに笑いながら「ほんとイケメンだねえ」と抄に言う。
「だろ?そうなんだよ。あの頃から可愛かったけど、まさかこんなになってるとは」
抄は、ははっと、笑って準を見た。
「抄さんも」
「うん?」
「相変わらずかっこいいです」
少し恥ずかしかったが、なんだか自分ばかりが褒められるのが嫌だった。
「俺?俺は、全然成長してねえよ!ねえ、悟史くん」
「そうだねえ」
二人の間に特別な空気が流れているようだった。
友達でもなく恋人でもない。夫婦のような慣れ親しんだ空気。
準は、少しいたたまれない気持ちになった。
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