再会

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「準、時間あんの?」 「え、ああ、はい」 抄は、持っていたカバンから情報誌を取り出した。 「映画でも観る?」 「うん!観たい!」 準は、嬉しくなった。 映画は大好きだったし、抄がどんな映画を好むのか興味があった。 二人で頭を付き合わせて、雑誌を覗き込む。 抄の首筋辺りから、男物の香水の匂いが微かに香ってきて、準はどきりとした。 「あの」 「ん」 「抄さん、香水付けてるんですか」 「え?いや、俺、そんなの付けないけど」 抄は、なんで?という顔をしてから、あ、と、小さく言った。 「悟史くんがさ。付けてるんだ、いつも」 抄は、準と目を合わせるのを避けるように、雑誌を見た。 「そうなんですか」 準は、複雑な気持ちで雑誌をまた覗き込んだ。
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