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グレイだ。
今にも落ちて来そうなほどの重たい空。
準は、いつものように、小さなヤカンでお湯を沸かし、紅茶の葉を入れたティーポットに注いだ。
出掛けるのが億劫になるような天気。
けれど、今日は、どうしても出掛けなければならない。
「はあ…」
わざと自分に聞こえるように声に出してため息をついた。
俺は、なにをやってるんだろう。
あんなに愛していたのに。
自分から、その手を離そうとしている。
けど。
抄さんは、笑って許してくれるんだろう。
もう、わかってるんだ。
そんなこと。
準は、もう一度ため息をついて、熱い紅茶を飲んだ。
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