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赤いプツプツが痛痒くて、啓太は苦しそうに顔を顰めている。
それでも泣かずに涙を堪えている啓太は、まだ小さいのに本当に偉い。
公園に自転車を乗り捨て、両足を引き摺る啓太に肩を貸しながら自分の家へと急ぐ。
そして勢いよく玄関のドアを開け、靴も脱がずに大声でお母さんを呼んだ。
「お母さん!啓太が・・・、脚が痛いって言ってる!!」
僕のその声を聞いて、リビングからお母さんが駆けつける。
そして真っ赤になった啓太の両足を見て、驚きの表情を浮かべた。
「まぁ・・・、可哀想に。
一体どうしたの、これ・・・?」
僕はお母さんに、啓太の脚が赤くなってしまった経緯を話した。
そしてさっきまで小さくプツプツとなっていた赤いものは、いつの間にか少し白っぽく変色している。
「そう、滑り台で・・・。
本当に危なっかしいわね。
とりあえず、赤みが引くまで冷やしましょう。」
お母さんは、啓太の脚は軽い火傷を負ったのだと話してくれた。
そして僕たち4人が見守る中、お母さんは玄関先に冷たい水とタオルを持ってきて、啓太の脚を優しく冷やし始める。
「おばさん、啓太、大丈夫かな・・・?」
兄さんの裕太が、心配そうにそう尋ねる。
彼の目は薄っすらと涙ぐみ、兄である自分がしっかり弟の事を見ていなかった事に責任を感じているようだった。
そんな啓太に、お母さんは優しく声を掛ける。
「裕太君、啓太君は大丈夫よ。
少し冷やして応急処置をしておくから、帰ったらもう一度お母さんに見てもらってね。」
そういえば、裕太と啓太のお母さんは、厚生病院の看護婦さんだっけ・・・。
でも、僕のお母さんは看護婦さんじゃないけど、ちゃんと怪我の手当てをしてくれている。
やっぱり、お母さんってすごいや。
料理やお洗濯はもちろん、僕のお友達の怪我の手当てまでできちゃうんだから。
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