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「一緒に遊ぼうよ?」
もう一度、彼女を遊びに引き入れようと声を掛けてみる。
しかし、何度声を掛けてみても結果は同じだった。
「・・・ねぇ、あれ・・・。」
後ろにいた裕太が、フェンスの中央にある何かを指差している。
僕は裕太の指が差す先に視線を向け、そこに何があるのかを確認した。
これは・・・、鍵・・・?
フェンスには、内側から鍵が掛けられていた。
しかしその鍵は簡易的な扉止めのようなもので、手の小さい純であれば、フェンスの隙間から鍵をあけられるんじゃないかと僕は確信した。
「純・・・、開けて。」
僕がそう言うと、純は少し迷いながらもフェンスに手を掛け、策の隙間かに手を差し込んで扉止めを開錠してしまった。
そんな僕たちの様子を見て、あの子は不安気な表情を浮かべたままその場で固まっている。
ちょっと強引だったのかもしれない。
だけど、どうしても知りたかったんだ。
・・・君の、名前は・・・?
だけどいつも、肝心な時に何も言えなかった。
「開いたよ・・・。」
少し興奮しながら、純がフェンスから手を離す。
すると、さっきまで僕たちとあの子を隔てていた鉄の柵がなくなり、遮るもののない状態で彼女の姿が目の前に現れる。
肩に乗せた手はそのまま。
ゆっくりと力を入れ、僕たちの方に引っ張ってみる。
一歩、一歩、彼女の足が僕の方に近付く。
そしてとうとう、あの子は初めてあの庭から出てきてくれたんだ。
背が高い。
そして、色白でぷっくりとしたほっぺたがとても可愛い子。
緊張して、僕は肩に乗せた手を離す事ができずにいた。
そして彼女も、未だに震えたままただ固まっているだけ・・・。
「ねぇ、名前は・・・?」
恐がらせないように、優しい口調で尋ねてみる。
しかし彼女の反応は、ゆっくりと頭を振り視線を逸らすだけ。
「ごめんね・・・、恐かった?
でも・・・、僕たち、君と一緒に遊びたかっただけなんだよ・・・。」
この気持ちは、ちゃんと通じてくれるのだろうか。
本当に、恐がらせるつもりはなかったんだ・・・。
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