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俯いたまま、彼女は何も応えてはくれない。
僕たち3人は、そのまま黙って彼女の表情に注目していた。
少しずつ、目が赤くなっていく。
そして下目蓋からは、もうすぐ涙が零れ落ちそうになっていた。
やっぱり、無理に誘うべきじゃなかったんだ・・・。
幼いながらに感じた罪の意識。
だけど、彼女を庭から連れ出してしまったから、裕太や純が一緒にいる手前、このまま何もせずに引っ込む訳にもいかなかった。
しかし・・・。
「おーい!お待たせー!」
その声にはっとし、声のする方を振り返る。
声の主は、さっきまでトイレに行っていたあいつだった。
僕の家の前で、アヤが僕たちの方に向かって呑気に手を振っている。
・・・タイミング悪いなぁ。
ん、待てよ!?
手を振るアヤから視線を戻し、僕は裕太と純にこう頼んだ。
「ねぇ、裕太と純は、アヤと一緒に先に公園に行ってて。
僕もすぐに追いかけるからさ。」
僕の言ったその言葉に裕太と純は少し不可解そうな表情を浮かべ、顔を見合わせた。
しかし、僕の家の前では何も知らないアヤが手を振っているし、自転車はどんぐり公園に放置してきたままだったから・・・。
「・・・わかったよ。
先に行くから、早く来てくれよな。」
そう言って2人は、僕と彼女から離れ、アヤのいる方へと近付いて行く。
その2人の背中を、僕はじっと見つめていた。
さて・・・。
ようやく彼女と2人きりになれた。
せっかくチャンスを作ったんだから、ちゃんとあの日の事を謝らなくちゃ・・・。
だけど今の僕はとても緊張していて、頭ではわかっていてもなかなか言葉が出てこないんだ。
・・・気まずい。
でも、男の子なんだから頑張らなくちゃ!
「ねぇ・・・。」
恐る恐る、彼女に声を掛ける。
そして答えのわかりきった質問を、泣き出しそうになっている彼女に投げ掛けた。
「僕たちの事、恐いって思った・・・?」
きっと彼女は何も応えてくれない。
だって、いつもそうだったから・・・。
項垂れたまま鼻を啜る彼女の肩から静かに手を下ろす。
そしてゆっくりとしゃがみ込み、俯瞰の方向から彼女の表情を伺った。
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