【3】

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――― 夏休みが終わり、2学期が始まった。 僕は夏休み中と変わらず、放課後いつものメンバーと一緒にどんぐり公園の滑り台にいた。 今日もアヤは、習い事に行くためここには来ていなかった。 そして・・・。 「あの子の名前、都那っていうんだって。」 唐突に純が、あの子の話題を僕に振る。 しかも、どうしてあの子の名前を知ってるんだ・・・? 「おい、どうして純が、あの子の名前を知ってるんだよ?」 結局僕は、彼女と約束を交わしたものの、その後彼女に会う事はなかった。 そして、結局名前も聞けないままで・・・。 彼女は夏休みの最終日の朝、原口のじいちゃんに連れられて、妹と一緒に『本当の家』に帰ってしまったらしい。 お母さんにそう教えられて、僕はあの庭を覗きに行ったけど・・・。 もう彼女は、この町を出て行ってしまった後だったようだ。 そして、僕が知らなかったもう1つの事実・・・。 「実は僕、あの庭に入れてもらったんだ。」 鼻高々にそう話す純。 もしかして、それって・・・。 「そっか・・・。 純はあの庭に、入れてもらえたんだな。」 正直、少しだけ悔しかった。 だけど、仕方がないんだ。 僕が『男の子』で、あの子が嫌いなのも『男の子』だから・・・。 「最初は少し恐い顔をしてたけどね。 男の子が嫌いだって言ってたけど、僕は・・・。」 いいんだ、別に。 だって僕は、あの子と約束したんだから。 ―――これからずっと、僕が君を護ってあげるから・・・って。
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