42人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
―――
夏休みが終わり、2学期が始まった。
僕は夏休み中と変わらず、放課後いつものメンバーと一緒にどんぐり公園の滑り台にいた。
今日もアヤは、習い事に行くためここには来ていなかった。
そして・・・。
「あの子の名前、都那っていうんだって。」
唐突に純が、あの子の話題を僕に振る。
しかも、どうしてあの子の名前を知ってるんだ・・・?
「おい、どうして純が、あの子の名前を知ってるんだよ?」
結局僕は、彼女と約束を交わしたものの、その後彼女に会う事はなかった。
そして、結局名前も聞けないままで・・・。
彼女は夏休みの最終日の朝、原口のじいちゃんに連れられて、妹と一緒に『本当の家』に帰ってしまったらしい。
お母さんにそう教えられて、僕はあの庭を覗きに行ったけど・・・。
もう彼女は、この町を出て行ってしまった後だったようだ。
そして、僕が知らなかったもう1つの事実・・・。
「実は僕、あの庭に入れてもらったんだ。」
鼻高々にそう話す純。
もしかして、それって・・・。
「そっか・・・。
純はあの庭に、入れてもらえたんだな。」
正直、少しだけ悔しかった。
だけど、仕方がないんだ。
僕が『男の子』で、あの子が嫌いなのも『男の子』だから・・・。
「最初は少し恐い顔をしてたけどね。
男の子が嫌いだって言ってたけど、僕は・・・。」
いいんだ、別に。
だって僕は、あの子と約束したんだから。
―――これからずっと、僕が君を護ってあげるから・・・って。
最初のコメントを投稿しよう!