三日目 祭囃子Ⅱ

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「あ。今日は全く進まないまま下校時間きちゃった…」 結局あの後、私は気にいらない部分をばしばし言っていき、委員長との口論の中全く進まないまま、今日の作業は終了した。 「んじゃ明日もやるからなるべくセリフ覚えてきてね…」 委員長は疲れ気味に教室を足速に去っていった。 「全く…一般公開だからと言って甘く作りおって。帰るぞ一条」 「うん!」 鞄を肩にかけてまま、私も足速に教室からでていった。 今日ぐらいは歩いて帰るか。 「ひよりちゃん」 「なんだ」 「今日はよらないの?」 「兄さんとこか?」 「うん」 「私をそんなブラコンと一緒にするな。だいたい兄さんも迷惑だろ」 「でも大丈夫なのかなぁ?」 「なんで」 「あの人からは、同性から好かれるオーラでてたから!」 「…」 「ちなみにひよりちゃんからも」 「ハァ…一条。私はお前がものすごい人物だといつも思い知らされるよ…」 一条の肩をポンと叩く。 「実はな…私達兄妹は呪われてるんだよ…」 「呪われてる?」 「そう。血筋でな…私の場合…何故か男性よりも…何よりも…女性に好かれてしまうんだよ…」 「へぇ」 「私も兄さんが心配だ。だがな。四六時中一緒にいるわけにもいかないから…あえてこうやってるんだ…」 「大変なんだね」 「もう慣れた…」 手を自分の横に戻し、また歩きだした。 どうか…神でもなんでもいいから…一条だけはそんな目で見てない子であらせてくれ…
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