四日目 祭囃子Ⅲ

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「あの時死にたくなったでしょ」 「な、なってないぞ」 「ならよかった!」 よいわけないだろう。お前のせいでこうして私は今、昨日と同じくリハーサルをやるはめになったんだからな。 「…もう我慢ならへんわァ!!」 王子役の進藤は我慢しきれなかったのか、小人役の工藤の胸を揉んだ。 またあいつは… っといつものように呆れていたが、工藤は一般人の一味も二味違うらしい。 揉まれたまま、おもむろにインスタントカメラを取出し自分の方向に向け、シャッターをきった。しかもその一瞬だけ嫌がった顔をして。 勿論ハテナマークを浮かべている。私にも他の奴にもわからない。 「お金払って?」 どうやらわかったのは私だけらしい。 「だーかーら。お金払ってって」 もう手を離した方がいいと思うぞ、進藤。 「お…お金…?」 「うん!お金」 進藤はやっと理解したように、手を離して何歩か後ろに下がった。周りの連中には、まだ理解できてないのがいる。 「ワイは!ワイはそんなつもりでやったんちゃうねん!」 他にどんなつもりがあるんだ。 「いや。証拠はちゃんとあるから。これ現像して証拠写真として法廷に提出すれば、今請求する額の何倍もの値段がとれるんだけどニャ~」 こいつは本気だ。進藤よ、こいつの命令に従った方が身のためだと思うぞ。 「どのくらい…?」 「これぐらい」 工藤はまたまた懐から電卓を取り出し、カタカタうってから進藤に見せた。こちらからはよく見えないが、進藤が明らかに絶望の表情を浮かべている。 私は思わず合掌をしてしまった。 「分割でもいいよ」 「なら…分割で…」 「何回払い?」 「10回で…」 「了解了解♪♪」 音譜マークなどつけても可愛く見えないのは、私だけだろうか。 こうして御一行はぐだぐだな演劇をやりながら、下校時間を今か今かと待ち望んでいた。
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