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五日目 祭囃子Ⅳ
「沢村リュウジ、よろしくね」
退けながら前に歩む。
「ついてくるな」
「そんなこと言わずにさ。俺と話そうよ」
いつの間にか前に回り込まれていた。また退けながら進む。
「近寄るな」
「そんなにツンツンしてたら、可愛い顔が台なしだよ」
また前に回り込まれていた。さっきと同じ行動をして進む。
「しつこい」
「素直じゃないなぁ」
次は肩に手が乗ってきた。肩に乗せられた手を払いのけ、歩くスピードを上げる。っと同時に両肩に手が乗り、体が自動的に後ろに向かされた。
普段だったら両肩に手が乗った瞬間に拳打を放っていたところだったが、沢村は力とスピードがあるらしい。いつもの行動がとれずにいた。
沢村の顔がずいと近づいてきた。普通の女子ならこれで頭がショートしているところだが、私はそうはいかない。そんな行動をとられても顔色一つ変えない事が可能だ。
「もしかして。オレの事嫌い?」
「あぁ。大嫌いだ」
両の手を払い。
「お前みたいな奴はな」
いつものように教室に入った。
「……点と…」
何か言ったようだが聞こえなかったことにしておいた。
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