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私は、意気地なし、だ。
「あのな…そんな意識すんな」
「は、はい…」
「早速、吃ってんぞ」
「う、うぅ…」
その時、下を向いていた顔を布施さんの熱い手が顎に触れ、私の顔を上に向かせた。
「おー、顔真っ赤」
「ふ、布施さんほどじゃないです…」
布施さんは熱があるから頬が赤い。
私は布施さんの一言、一言でいちいち顔が赤くなる。
布施さんの熱い手が私の頬をスルッと掠めて離れていった。
「まっ、意識すんなっつっても無理か。
それに、お前がそうなってんのも俺のせいだしな」
またギシッと音を鳴らして、起き上がった体勢から、座り込んでいる私に向かって座り直した。
そして、頭をポンッと叩いて、
「悪かった。あんな事言って」
もう一つ、ポンッと叩いた。
「えっ…?」
「忘れろ。んで、さっさと深谷のモノになっちまえ」
布施さんが言うと、どうしてもいやらしい意味に聞こえてしまう。
今日一番の顔の熱さを感じているに違いない。
「なっ、な、な、な…」
「あっ?付き合ってんならそういう事するんだろ?
よかったなー、処…」
「ふ、ふ、布施さん!!」
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