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足のジンジンする痛みも忘れて即座に立ち上がった。
この人、い、今、何言おうと…!!
「何だよ、お前。
こんな事を言っただけでうろたえてたら、本番知らねーぞ」
「そ、そんなの…考えた事ありません!!」
「うっわ、深谷カワイソー」
そう言うと、持ってきた水の入ったグラスを口に持っていき、一気に半分以上飲んだ布施さん。
はぁっ…と、飲んだ後の一息か、ため息かわからない息をはいた。
「もう…布施さんの意地悪…」
コトンとテーブルに置いたグラス。
私を見ながら布施さんは、再度ソファにもたれた。
「そうだよ。俺は意地悪な先輩だよ」
ハッと笑いを零して、足を組んだ。
その自重気味な態度に、私は何も言えずにただ立って目の前にいる布施さんを見ていた。
「お前の中では俺はそんなもんだ。
だから、俺の事で悩むなんてことは止めろ」
「布施さ…」
「頭悪いんだからあんまり考え過ぎんな。
また、前みたいに熱出るぞ」
ぎゅうってスカートを握りしめた。
もうクシャクシャになるくらいに。
じゃないと、泣いてしまいそうだったから。
どうしてこの人は…
こんなにも優しいんだろう。
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