2203人が本棚に入れています
本棚に追加
私から話をする事なんて…
何もなかったんだ。
布施さんが、私の全てをわかってくれていた。
私が苦しまないように、深谷君の事だけを考えれるように…
自分さえ、我慢すればって…
「ふっ…」
生徒会室を出たらまた涙が流れてきた。
でも、すぐに拭いた。
口いっぱいに広がっている、甘酸っぱい味を噛み締めながら。
私はここで泣いちゃいけない。
だって、泣くんじゃなくって言わなきゃいけない言葉は一つだけ。
「ありがとう。布施さん…」
こんな私を好きになってくれて。
口の中でパイン飴を味わいながら、私は皆の待つ体育館倉庫に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!