決断と時間

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バスに揺られて病院へ。 前に見た弱っていたお母さん。 あの時を思い出すと、とてつもない不安が私を襲う。 今日もあの日のようなお母さんだったらどうしよう…って。 緊張で震えた手で、病室のドアを静かに開けた。 その先に見えたのは 「緑ちゃん、来てくれたの?」 全身の力が抜けたみたいな安堵感。 よかった… 引越ししてきた時のような元気さはないけれど、想像していたお母さんよりも元気な姿だ。 安心した私は駆け寄って、寝ているお母さんに抱きついた。 「あらあら?どうしたの?緑ちゃん。 甘えん坊さんね」 「よかった…お母さん…」 「ごめんね、心配かけて」 「ううん、大丈夫。 よかった、本当に、よかった…」 お母さんは私の頭にそっと手を当てると、優しく撫で始めてくれた。 …懐かしい…よくしてもらったな。これ。 懐かしい記憶が蘇ったのか、私はさらにお母さんにぎゅうって抱きついてしまった。 そんな私にお母さんは頭を撫でながら、 「どうしたの?学校で何か嫌なことでもあった?」 優しく頭を撫でながら、優しく、優しく私に問いかけてくれた。
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