決断と時間

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そう言い終えて、ブイっとピースを作ったお母さん。 その無邪気な様子につい、笑みが零れた。 「ありがとう、お母さん」 「いいのよー、可愛い緑ちゃんの為だもん」 頭をまた撫で撫でされた。 お母さんの手は落ち着くな… ありがとう、お母さん。 話、聞いてくれて… お母さんが話してくれたおかげで、少し心が軽くなった気がする。 だから、私もお母さんが喜ぶ報告を一つ。 「あのね、お母さん」 「なぁに?」 「私ね…彼氏、出来たの…」 ………もう、その後のお母さんのはしゃぎっぷりは凄かった。 看護師さんに「安静に!!」って注意されるほど。 よかった…お母さん喜んでくれて。 お母さんはぜひ、深谷君を病室に連れて来て欲しいって言ってた。 娘の彼氏には自分が絶対に先に会いたいって。 イケメン好きなお母さんなら絶対、深谷君の事、気に入ると思う。 それに「味方は多い方がいいでしょ?」って。 それはお父さんに対してだよね? そんな話を二人でほどほどにはしゃぎながら喋って次の水曜日に深谷君を連れてくる約束をして、私は家に帰った。 そして、長い長い……一日が終わった。
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