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しかも、用事は私のお母さんに会いに行くってこと。
それも…彼氏、として紹介するために。
「あの、ごめんね?深谷君」
「何が?」
神社の境内に続く道に向かおうとしている深谷君の背中に声をかけた。
ルックだけは、深谷君の肩越しに私を見下ろしている。
…凄く、居心地がよさそうに…
「えっ…?だって…あの…せっかくのお休みなのに、私のお母さんに会いに行くなんて…その…嫌じゃない?」
貴重な部活休みの水曜日。
そんな日に私の母親に会うなんて、普通なら面倒がられてもしょうがないのに…
なのに、深谷君は
「何で?全然」
って言ってくれる。
「いつか会わなきゃなーって思ってたし。
俺は全然構わねーけど?
あっ、でも…」
…でも?やっぱり、嫌?…なのかな…
「初めてのデートが病院ってのもな…
お前のお母さんに会った後、どっか遊びに行く?」
目を丸くして、背が高い彼を見上げた。
その顔は照れていたのか緊張していたのかわからないけれど、ちょっと不安気な表情で私を見下ろしていてくれた。
そんな私の返事はもちろん…
「い、行く!絶対行く!」
「よし、決定な」
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