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消えた色。
群青色の空にぶら下がる三日月が逆さまになって、いつからか夜は、またとない色を手に入れた。
昼と夜の境目が濃くなって、反比例するように、僕と世界の境目が、薄くなる。
闇の中の光は、強い。
強い光が闇を全て包み込んだ後、僕には光の強さが分からなくなった。
僕は何を見ていたのかな?
生まれ落ちた感情は僕を利己的にして、大切なものまでわからなくしていた。
僕は何を間違ったのかな?
君さえいれば他には何も、いらなかったはずなのに。
「都会の夜の雨が好き」
彼女の言葉を思い出す。
君がいなくなる夜はいつも、雨が降る気がする。
窓を伝う雨はまたとない色を屈折させて、僕の部屋を群青色に染める。
二度と君の来る事の無い、君の物の並ぶ部屋を。
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