第1章

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「ありがとう。内線で回してくれて良かったのに」 「談話室(ここ)の電話壊れてるって、朝礼で言ってたじゃないですか」 まったくこの忙しい時に……とごねる彼女は俺を視界に捉えると急に表情を明るくした。 その瞬間、何故か俺の心臓は跳ね上がった。 「ひょっとしてこの子ですか?高卒の新人さんって」 「そうそう。4月1日から入職する」 「い、石川駿ですっ」 うわ、声裏返った!!すっげぇ恥ずかしい俺!! 「駿くんね。私は神崎瑠花です。同じフロアだから4月からよろしくね」 そう言ってふわりと笑う神崎さん。 ……なんだ。怖い人じゃないじゃん。 そう思ったら、鼓動は治まるどころかむしろ加速していた。
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