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外線対応に行ってしまった一之瀬さんの代わりに、神崎さんがフロアを案内してくれる事になった。
「駿くんは施設見学来たんだっけ?」
「あ、はい。10月くらいに」
「そうなんだ。私その日夜勤か休みだったのかなぁ。会ったの今日が初めてだもんね」
夜勤、か。
俺も半年くらいしたらやってるんだろうな。
……ダメだ、想像つかない。
「夜勤ってやっぱり大変ですよね?」
「何事もなければ楽な方だよ。ナースコール鳴り続いたり救急搬送ってなったら話は別だけど」
「救急搬送、ですか」
「でも滅多にないから。そこは安心していいよ」
話しているうちにサービスステーションと書かれたところに着いた。
「病院にあるナースステーションと似たものだよ。介護職員の控え室」
扉を開ける前に、神崎さんがこちらを振り向く。
肩より少し長いくらいの黒髪がさらさら揺れた。
「見学の時に設備は見てるだろうから、他の職員さんと顔合わせしちゃおっか」
「え、良いんですか?」
「うん。みんな楽しみにしてたから」
神崎さんはいたずらっぽい笑みを浮かべるとドアを開けた。
「神崎戻りましたー」
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