第1章

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外線対応に行ってしまった一之瀬さんの代わりに、神崎さんがフロアを案内してくれる事になった。 「駿くんは施設見学来たんだっけ?」 「あ、はい。10月くらいに」 「そうなんだ。私その日夜勤か休みだったのかなぁ。会ったの今日が初めてだもんね」 夜勤、か。 俺も半年くらいしたらやってるんだろうな。 ……ダメだ、想像つかない。 「夜勤ってやっぱり大変ですよね?」 「何事もなければ楽な方だよ。ナースコール鳴り続いたり救急搬送ってなったら話は別だけど」 「救急搬送、ですか」 「でも滅多にないから。そこは安心していいよ」 話しているうちにサービスステーションと書かれたところに着いた。 「病院にあるナースステーションと似たものだよ。介護職員の控え室」 扉を開ける前に、神崎さんがこちらを振り向く。 肩より少し長いくらいの黒髪がさらさら揺れた。 「見学の時に設備は見てるだろうから、他の職員さんと顔合わせしちゃおっか」 「え、良いんですか?」 「うん。みんな楽しみにしてたから」 神崎さんはいたずらっぽい笑みを浮かべるとドアを開けた。 「神崎戻りましたー」
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